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066 2003.1.25 少女の瞳の中に神を見る

厳冬の新宿の陽だまりがビルの隙間を縫っていた

少女は、スナフキンのような足元まで埋めた

黒いすそ広がりのコートを着て待っていた

いつものように黒目がちのきらきらと輝く目で

林立するビルの谷間の青い透明な空の向こうに銀色の富士山が光っていた

「本音で生きて下さい」という言葉の意味する

向こうに少女は何を見出したのだろう

未来が見えるという

このしみじみとした言葉の裏に隠れているものは何なのだろう

生きている最後の限界

死生の境を往来したものでないと判らない本音

冥界をさ迷い、歩き続けた時代

脈拍が不規則に時を刻み

心臓の永遠の鼓動が、緩慢に停止に向かっていた

走る車を停止し、転がり出た歩道は夏の灼熱を溜めていた

そんな時代があった

人生には、色々なことがある

主人公は、音楽の中に同体になるものを見出したと言う

未来という言葉の中に、純粋な心を感じる、

でも、この人には、生きる地獄が本当にあったのだろうか

戦争という過酷な時代を知っているのだろうか

貧困という生活を経験しているのだろうか

栄養失調という体験があるのだろうか

マラリヤ、しょう紅熱、疫痢、ジフテリヤ、40度の高熱の持続

この子は、育たないと云われ続けて今がある

灼熱の歩道に転がり出たとき、心臓はあえぎ悲鳴をあげ

何時の日から寝ないでいる自分を発見し

100種類の仕事を同時に行なう思考と時間差の勝負

短時間に、何千人にも遭い、行政との交渉に時間を費やした

そんなことが何回、続いただろうか

未来という漠然に、世界の曾孫、玄孫の時代に継承されれば良いと思っている自分

いくつもの坂を越え、万丈の岩肌を縫い

超えてきた過酷な出来事、

でも、こけおどしの装置や音楽は要らない

ひっそりと、チェロを弾いている真摯な音楽家に心打たれるだけである

世の中には、色々な人がいて、色々な思考がある

少女には新鮮で感動的なことも、老人には当たり前のことと写る

万博、国際見本市、世界子供音楽祭、管打楽器コンクール、つくば国際音楽祭、アジアの伝統と現代・・・・

・・・・・・・・やってきたことは際限が無い。

少年の時代、夢を描いたことが着実に開花し、確実に継続されている。

道は、ちがっても目指すものは同じ、手法の違いや、方法の隔たりはあっても

未来が明るくなれば良いと祈るだけだ

そんなことよりも、真摯な少女が夢に挫折を感じることなく、

幸せでいてくれれば良いと思うだけだ

風邪を引くなよ、

食事をちゃんと摂っているか

きちんと寝てるか

そして今日という日が過ぎていく。


   日出太の下手な綴方・詩作・もろもろのエッセイ目次
  トップ頁 作成:2013/10/12 (土) 17:00:16/修正:2013/10/12 (土) 17:50:54